糸・布・針を読む

自分は縫わないけど、縫ったり織ったりすることを考える・・・読書や調査の記録(基本は自分の勉強メモ)

アイヌ工芸―祈りの文様

現在、東京駒場の日本民芸館で開催中の「アイヌ工芸―祈りの文様」展を拝見した。

http://www.mingeikan.or.jp/events/

柳宗悦は日本民藝館創立から5 年目の1941 年9 月、アイヌ工芸の蒐集・研究家の杉山壽栄男の協力を得て、アイヌ工藝文化展を開催したとされる。実はこの展覧会が美術館という場での最初のアイヌ工芸展であるとされている。

柳は「それは啻に美しいのみならず、立派でさへあり、神秘でさへあり、其の創造の力の容易ならぬものを感じる」と言葉を『工藝』106 号アイヌ特集号に「アイヌへの見方」と題して掲載した。展示の選択をしたのは染色家の芹沢銈介だったというから、すごい顔ぶれである。

今回の展覧会は、これら収蔵品を中心に静岡市立芹沢銈介美術館の収蔵品も含めて約100 点の展示となっている。

会場には見事なアツシが並んでいる。これまで拝見してきたものと比べると、かなりデザイン的に凝ったものが多い。収集段階からある程度民芸のメンバーの選別のまなざしが入っていただろうことが推察できる。

ここの展示は必ずしも現在のミュージアムとしては「親切」ではない。収集年代や展示品の解説などは極力省かれているし、会場も明るくはない。それでも、民芸館独特の建物の雰囲気はもちろん、展示品に目を近づけて見ることができるのは有難い。特に布製品はガラス越しより目を近づけて見たいものである。

2013年4月2日(火) ~ 6月2日(日)