アイヌの人々の皮衣には衿のないものもあるので、アッツシが衣服の主流になってから衿ができたものではないかと岡村吉右衛門は書いている。
アッツシに和服仕立が導入されると共に、衿の部分が加えられたとの推定らしい。
衿は「イリ」とか「エリ」と呼ばれ、これは着物の部分名称で和語を借用したもの。こうした和語の借用は衿以外にはないという。
衿には特別に呪術的な意味があって、紺の裂をつけるのは、うなじが急所であるので除魔力を持つ裂をそこに当てたものと推察している。
衿に何をつけるのかは一定していないらしいが、紺の木綿が一番多く、紅や藍の絞り、型染めの小紋、縞木綿なども見られる。白木綿は死装束とのこと。