本の装丁
アイヌの人々の手仕事のことを調べていて気になることが一つ。
たまたま私の手元にあるものだけがそうなのかもしれないし、もしかすると復刻がそうなのかもしれないけれど、本の装丁がまるでアッツシを用いているかのような麻の布張りなのだ。
これってアイヌ研究の中では当たり前なのだろうか。それともたまたまなのだろうか。
本を手にしてアッツシ(のような)の手触りとともに読ませる/見せることに何か意味があるのではないかと私には感じられる。少なくとも私の蔵書の中では極めて異色の装丁であることは間違いない。
単純に考えれば、これらの著者たちは、アイヌ文化を「本」という和人のメディアによって伝えようとする際、ある種のリアリティを付与するために麻布貼りという形を取ったということだと思う。そこには「アイヌらしさ」を「本」というモノに付与して「よりよく伝える」意図があったのだろう。
そのこと自体の評価はともかく、今の本ではとてもできない贅沢さ。手にとった人たちはどんな思いでこれらを読んだのだろう・・・。