糸・布・針を読む

自分は縫わないけど、縫ったり織ったりすることを考える・・・読書や調査の記録(基本は自分の勉強メモ)

ヴェルディエの「裁縫女」

ちょっとベーシックな女性労働研究。イヴォンヌ・ベルディエ『女のフィジオロジー 洗濯女・裁縫女・料理女』という本がある。フランス、ブルゴーニュ地方のミノという小さな村の人々の様子を描いている。

女のフィジオロジー―洗濯女・裁縫女・料理女 (1985年)

女のフィジオロジー―洗濯女・裁縫女・料理女 (1985年)

この中の「裁縫女」の章にもかなり面白いことがいろいろ書かれているので、ピックアップしておこう。

この地方では、15歳を迎えた年、娘たちは裁縫女のもとでひと冬を過ごすという。少女たちは、12-14歳の少女期と15歳から結婚までの「娘時代」に年代が分けられる。この分岐点で少女たちは「裁縫女」のもとで過ごすそうだ。(p.156-157)

で、「裁縫女」って何?という感じで読み進めると、大きく二つの役割があるという。

ひとつは、結婚式の朝、花嫁にヴェールをかぶせること。ミノでは、裁縫女が、結婚式当日に花嫁の世話をし、かつヴェールをかぶせるという儀礼的な役割を担う。もうひとつは「もっと微妙な、少なくともそれほど意味が明らかではない役割である。娘が一五歳になると「手ほどきをする」」ことなのだという。(p.157)

小さな共同体の中で、特定の女性に意味がある役割を与え、共同体内の女の子たちの人生の節目に教育的・指導的立場を与えていくという「裁縫女」という制度。

いろいろ興味深いので、少し丁寧に読んでみようと思う。(つづく)