糸・布・針を読む

自分は縫わないけど、縫ったり織ったりすることを考える・・・読書や調査の記録(基本は自分の勉強メモ)

裁縫

「その裁縫の針は奴隷主たちの良心をちくりと突き刺すだろう」

すっかりこのブログからご無沙汰していたのは、私の仕事の仕方が集中的に読書をする時期とフィールドに出る時期があって、ここしばらく読書する余裕がなかったため。久々にこちらを更新。 さて、タイトルにある「その裁縫の針は奴隷主たちの良心をちくりと突…

大正から昭和戦前の洋裁教育者たち ①

のちの洋装界の指導者となる人達は、大正から昭和戦前に名前が登場するようになる。 洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) …

大正から昭和前期の洋裁教育

小泉和子『洋裁の時代』の「大正から昭和前期の洋裁教育」の項では、洋裁が身近になっていく社会の変化が紹介されている。この時代を戦後、洋裁学校ブームが起こる前史であるとしている。 (pp.24-25) 洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小…

明治の洋裁教育―女学校

洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る 小泉氏の論に従って、初期の外国人女性主導の洋裁教育から、その後の男性専門…

明治の洋裁教育―20年代以降

洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る 明治20年代になると・・・(p.23) 日本の洋裁教育では日本人の洋裁教授者が…

ヘボン塾での洋裁教育(再検討)

小泉和子『洋裁の時代』では、「1870(明治3)年 「横浜ヘボン施療所」でキダー女史が洋裁を初めて教えた」とされている。 洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリ…

明治の洋裁教育―外国人による

いろいろと忘れていることも多いので、ここらで小泉和子『洋裁の時代―日本人の衣服革命』でも読み直しておくかな・・・。 洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリ…

棚機神社

裁縫や機織は人が暮らす上で不可欠な労働だったから、当然ながらそうした行為を守る神様というのがいる。そんな機織の神様を祀る、奈良県葛城市にある棚機神社を訪れた。 「この地域は、朝廷に献上する布を織る氏族が暮らす村で、五世紀頃、大陸から来た人が…

田中忠三郎の母の刺し子

田中忠三郎の『物には心がある。 消えゆく生活道具と作り手の思いに魅せられた人生』(アミューズ エデュテインメント、2009年)から。 田中の母の刺し子についての文章「布を切るのは肉を切るのと同じこと」はとても重い。(pp.162-165) 「私の手元には今…

ヴェルディエの「裁縫女」―学校の裁縫教育

(つづき) 牧場での編物と並行して、ミノの学校教育の中で、少女たちは裁縫を習った(というが、こりゃ徹底した手仕事教育だ・・・と私はだんだん嫌な気分になっている)。 19世紀末から20世紀初頭の教育学者たちは「裁縫の授業は、女子教育、あらゆる女子…

ヴェルディエの「裁縫女」

ちょっとベーシックな女性労働研究。イヴォンヌ・ベルディエ『女のフィジオロジー 洗濯女・裁縫女・料理女』という本がある。フランス、ブルゴーニュ地方のミノという小さな村の人々の様子を描いている。 女のフィジオロジー―洗濯女・裁縫女・料理女 (1985年…

明治の裁縫―和裁

『明治文化史』は言わずと知れた明治史研究の大著で、私の関心は大抵第12巻「生活」に収録されている。 明治文化史〈第12巻〉生活篇 (1955年)作者: 開国百年記念文化事業会出版社/メーカー: 洋々社発売日: 1955メディア: ?この商品を含むブログを見る 「和裁…

『袋物細工の枝折』

明治42年に共立女子職業学校で編纂された袋物細工の教科書。(教科書として使用されたかどうかは微妙で一般向けと考えた方が良さそう) この時期の共立女子職業学校の副校長は宮川保全(みやかわやすのり)で、鳩山春子らと共にこの学校を設立した一人。彼が…

お針屋

徳永幾久は近世の裁縫の教育機関として「お針屋」を紹介している。それがなかなか面白い。 徳永幾久『民俗服飾文化 刺し子の研究』衣生活研究会、1989年 当時、寺子屋の経営者は武士が多かったそうだが、女子が必要とする礼儀作法や裁縫は母親たちが教えてい…

刺し子技術の一丁前

かつては刺し子の技術にも「一丁前」という基準があったという。とても興味深い。 徳永幾久『民俗服飾文化 刺し子の研究』衣生活研究会、1989年 東北各地で江戸時代から続いてきた藩政の影響で、地域ごとに女の一丁前の内容に変化があるそうだ。刺し子の技術…

即身仏と刺し子

徳永幾久は、『民俗服飾文化 刺し子の研究』の最初に、刺し子が生み出された風土や文化について説明している。 徳永幾久『民俗服飾文化 刺し子の研究』衣生活研究会、1989年 ざっくり要約すると、東北地方の飢えの惨劇の歴史、不可避の災害、自然との対峙――…

スカラリーメイド

村上リコ『英国メイドの日常』(河出書房新社、2011年)を読んでいて、いくつか縫い物に関する記述があって、なかなか興味深かった。 図説 英国メイドの日常 (ふくろうの本/世界の文化)作者: 村上リコ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/04/16メデ…