糸・布・針を読む

自分は縫わないけど、縫ったり織ったりすることを考える・・・読書や調査の記録(基本は自分の勉強メモ)

教育

ワークショップ「アプリケに挑戦」

6月30日(日)に一宮市立三岸節子記念美術館で開催されたワークショップを拝見しました。定員20名ということで、すでに満員御礼だったのですが、ちょうど欠席された方がいらして、急遽参加させていただけることに。 現在開催中の「宮脇綾子展」のことは先日…

大正から昭和戦前の洋裁教育者たち ①

のちの洋装界の指導者となる人達は、大正から昭和戦前に名前が登場するようになる。 洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) …

明治の洋裁教育―ミシン会社

洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る 日本の洋裁文化の定着に不可欠だったのがミシンの普及だった。というのは、一…

明治の洋裁教育―女学校

洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る 小泉氏の論に従って、初期の外国人女性主導の洋裁教育から、その後の男性専門…

明治の洋裁教育―20年代以降

洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る 明治20年代になると・・・(p.23) 日本の洋裁教育では日本人の洋裁教授者が…

ヘボン塾での洋裁教育(再検討)

小泉和子『洋裁の時代』では、「1870(明治3)年 「横浜ヘボン施療所」でキダー女史が洋裁を初めて教えた」とされている。 洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリ…

明治の洋裁教育―外国人による

いろいろと忘れていることも多いので、ここらで小泉和子『洋裁の時代―日本人の衣服革命』でも読み直しておくかな・・・。 洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)作者: 小泉和子出版社/メーカー: OM出版発売日: 2004/03メディア: 単行本購入: 1人 クリ…

アイヌ民族の少女の躾・・・

小川早苗『アイヌ民族もんよう集』に次のような文章が出てくる。千歳地方で語られているユカラの一節だということ。母親の子育て(縫い物のさせ方)らしい。 アイヌ民族もんよう集―刺しゅうの刺し方・裁ち方の世界作者: 小川早苗出版社/メーカー: かりん舎発…

ヴェルディエの「裁縫女」―ピエースとマルケット

(つづき) ミノの学校では少女たちは卒業課題としてピエースとマルケットを作成したという。 ピエースは一枚の布の端から端まで裁縫の主な縫い目を刺したもので、様々な縫製の技法を集積したものだという。たぶん縫い方のサンプラーのようなものだと思う。…

ヴェルディエの「裁縫女」―学校の裁縫教育

(つづき) 牧場での編物と並行して、ミノの学校教育の中で、少女たちは裁縫を習った(というが、こりゃ徹底した手仕事教育だ・・・と私はだんだん嫌な気分になっている)。 19世紀末から20世紀初頭の教育学者たちは「裁縫の授業は、女子教育、あらゆる女子…

ヴェルディエの「裁縫女」―編物と牧場

(・・・つづき) ミノという地域では男女共に学校より牧場へ行くことが、子どもたちにとって重要かつ教育的だったという。大人になっても、ずっとこの土地で生きていく者にとって、学校とは読み・書きを教えてくれれば良い場であって、それ以上の知恵は牧場…

ヴェルディエの「裁縫女」

ちょっとベーシックな女性労働研究。イヴォンヌ・ベルディエ『女のフィジオロジー 洗濯女・裁縫女・料理女』という本がある。フランス、ブルゴーニュ地方のミノという小さな村の人々の様子を描いている。 女のフィジオロジー―洗濯女・裁縫女・料理女 (1985年…

信玄袋

手芸の話から少しそれるかもしれないけれど、『明治文化史』でちょっと気になったのが、「信玄袋」の話題。 明治文化史〈第13巻〉風俗 (1979年)作者: 開国百年記念文化事業会出版社/メーカー: 原書房発売日: 1979/04メディア: ?この商品を含むブログを見る …

娘組

『明治文化史』第13巻を一通りチェックしてしまうつもりが、あちこち関心が飛んでしまって、なかなか最後まで行き着けないので、ここからまとめて・・・。 明治文化史〈第13巻〉風俗 (1979年)作者: 開国百年記念文化事業会出版社/メーカー: 原書房発売日: 19…

近江家政塾の手芸展

近江家政塾は、1934(昭和9)年2月から、月曜日は手芸一般(おそらく洋裁を含む)、金曜日は料理が教えられていたようである。 1935年3月末には、生徒の成果作品を中心とした手芸展が開かれたという。内容的には、レース、刺繍、クッション、編物等が展覧さ…

近江家政塾

西洋文化の一部として手芸や洋裁が定着していく過程には、西洋人女性宣教師やミッションスクールの女性教師たち、さらには日本人のクリスチャン女性たちが深く関わってきた。このことを詳しく書いているのが川崎衿子『蒔かれた「西洋の種」』で、この中で近…

毛糸編物の普及

明治の手芸ブーム・・・もう少し詳細にみておくと以下のとおり。 『明治生活調査報告』によれば、家庭で毛糸編物を始めた早い例は、 明治11.12年、群馬県高崎市と福井県今立郡味真野村。 12~16年にかけて富山県滑川町、愛媛県宇和島、新潟県三面村。 明治も…

明治の手芸ブーム

今は手芸ブームだと言われている。1950~60年代にも、すごい手芸ブームがあった。それぞれの時代に手芸がブームになる社会的背景があるわけで、それを考えていくと人が手仕事に執着する意味などがわかるような気がする。 文献によれば、どうやら明治時代にも…

居留地の女性たち

開港と同時に外国人が日本に住むようになった明治初頭、かなり早い時期から外国人の名前は新聞などにも書かれるようになっていた。外国人男性の場合には、比較的公的な役職や仕事が残されている場合が多いが、実は外国人女性の場合、それが誰なのか知ること…

ミシン教育の導入

今ではどこの小学校の家庭科室にも必ずあるミシン。私が小学生の時代にはすでに電動ミシンが揃っていたが、家庭科室の片隅には足踏みミシンがあったのを覚えている。 手縫いが当たり前だった時代、ミシンという舶来かつ高価な機械を教育に導入することはなか…

明治の裁縫―和裁

『明治文化史』は言わずと知れた明治史研究の大著で、私の関心は大抵第12巻「生活」に収録されている。 明治文化史〈第12巻〉生活篇 (1955年)作者: 開国百年記念文化事業会出版社/メーカー: 洋々社発売日: 1955メディア: ?この商品を含むブログを見る 「和裁…

『袋物細工の枝折』

明治42年に共立女子職業学校で編纂された袋物細工の教科書。(教科書として使用されたかどうかは微妙で一般向けと考えた方が良さそう) この時期の共立女子職業学校の副校長は宮川保全(みやかわやすのり)で、鳩山春子らと共にこの学校を設立した一人。彼が…

お針屋

徳永幾久は近世の裁縫の教育機関として「お針屋」を紹介している。それがなかなか面白い。 徳永幾久『民俗服飾文化 刺し子の研究』衣生活研究会、1989年 当時、寺子屋の経営者は武士が多かったそうだが、女子が必要とする礼儀作法や裁縫は母親たちが教えてい…