糸・布・針を読む

自分は縫わないけど、縫ったり織ったりすることを考える・・・読書や調査の記録(基本は自分の勉強メモ)

當麻寺―極楽浄土へのあこがれ―

6月2日まで奈良国立博物館で開催中の「當麻寺―極楽浄土へのあこがれ―」展を拝見した。

當麻寺は、奈良の葛城市にあり、本尊綴織當麻曼荼羅と當麻曼荼羅を現出させたとされる中将姫伝説が残るお寺で、糸や布に関わる人や女性の信仰に関わる土地でもある。というわけで見ないわけにはいくまい・・・というところである。

もちろん、綴織當麻曼荼羅だけでなく、様々な當麻寺に関わるモノが展示されていてとても興味深かったのだが、やっぱり気になるのは中将姫伝説だと思う。

中将姫は763年、その祈りによって當麻寺の本尊―極楽浄土を表した織物―綴織當麻曼荼羅を完成させ、その後29歳という若さで往生したと伝えられる女性である。この曼荼羅とともに中将姫も當麻寺の信仰の中核になっている。

今回の展示でも繍仏はとても面白かった。また、糸や布に関わる女性たちを中心にしたであろう當麻曼荼羅の地域的な広がりなども面白い。各地に写しが残るわけだが、こうした信仰の源泉に、縫う行為があったことが何より興味深い点である。

会期はもうわずかなのだが、もう一度見に行かねば・・・と思っている。

2013年4月6日~6月2日 奈良国立博物館

http://www.narahaku.go.jp/exhibition/special.html