読書
1881年、美術理論家のルイス・F・デイは次のように述べている。 「現代の差し迫った問題の一つは、貧しい女性はどのように生計を立てるのかということである。(中略)美術関係の仕事、特に装飾芸術は彼女たちに開かれていると多くの人々は思っている。」 ノ…
すっかりこのブログからご無沙汰していたのは、私の仕事の仕方が集中的に読書をする時期とフィールドに出る時期があって、ここしばらく読書する余裕がなかったため。久々にこちらを更新。 さて、タイトルにある「その裁縫の針は奴隷主たちの良心をちくりと突…
山脇敏子の『文化服装講座 手芸編』の総論の続き。 戦争直後の語りであるという前提で読まねばならないが、服飾史の流れの追い方も興味深いものがある。 「従来の封建時代にあっては、美しい絵画や彫刻、織物などはすべて貴族という特権階級の人のみが玩味し…
著者である山脇敏子は総論として「手芸及び服飾手芸について」という文章を書いている。基本的には手芸の歴史を述べようとしているのだけれど、これはちょっと・・・と今の感覚では書けないようなテクストになっている。戦前の女性インテリって・・・。 なぜ…
山脇敏子『文化服装講座 手芸編』から。 数枚カラーの口絵が付されているのだが、私の「昭和26年認識」とだいぶイメージが違うので驚いてしまった。 左から、厚地サテン、胸から腰にかけてキルティングしたツーピースドレス。 ヒモレースのブラウス。 プレー…
「手芸」といっても時代や文化によっていろいろ定義も内容も異なるのだが、『文化服装講座 手芸編』(昭和26年)の中で、山脇敏子は次のように書いている。 「私は糸と針をもって作るすべての手法を、ぜんぶひっくるめて手芸といいたいのです。もっとひろげ…
昭和26年に出版された『文化服装講座 手芸編』。著者は山脇敏子。 講座シリーズ本の仲の一冊で、「我国第一の洋裁研究書」をうたっていた。ちなみに「婦人服前編」「婦人服後編」「子供服編」「男子服編」に続いて出版されたのこの「手芸編」である。 戦後6…
斎藤祥子の『北海道の洋服化への道―函館を中心に』(青山社、2008年)を読む。 少し抜き書き。 「北国の海、山、田畑の仕事には、身体の躯幹部を覆う衣服だけでは体温調節に限界がある。そこで、天候の変化をしのぐために、被り物、履物等に工夫をしたり、海…