糸・布・針を読む

自分は縫わないけど、縫ったり織ったりすることを考える・・・読書や調査の記録(基本は自分の勉強メモ)

大正から昭和戦前の洋裁教育者たち ①

のちの洋装界の指導者となる人達は、大正から昭和戦前に名前が登場するようになる。

洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)

洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)

杉野芳子田中千代、山脇敏子、伊東茂平、並木伊三郎、原田茂、野口益栄・・・。小泉和子氏が名前を挙げているのはこの辺の人々だが、確かにこの人達の残した仕事はすごいものがある。

 

杉野芳子(1892-1978)は、ドレスメーカー女学院(通称「ドレメ」の創立者。「渡米中、洋服を着る必要に迫られて「米国式パターン」を学んだ」とされ、1926年にドレスメーカー女学院を開校した。戦時中は大変だったようだが(詳細省略)戦後は授業を再開し1949年にはデザイナー養成を開始、1964年には杉野学園女子大学を開校した。(pp.33-36)

田中千代(1906-1999)も欧米留学の経験があり、帰国後に鐘紡の主任デザイナーとして迎えられている。面白いのは昭和7年に「芦屋の自宅食堂を解放して、知り合いや近所の娘さんに洋裁を教える「お茶の間サークルさつき会」を始めていたが、熱心なさつき会の生徒に推されるかたちで、昭和一二(1937)年一〇月、「田中千代服装学園」を創立した」ところだろうか。そこでは、洋裁教育だけでなく画家や音楽家の教養講座が行われ、「見る目を養うこと」を重視したという。『田中千代服飾事典』は今でも服飾事典として有名である。なにかと便利。

新・田中千代服飾事典

新・田中千代服飾事典

世界各国の民族衣裳収集の成果も興味深い。研究熱心な女性だったようだ。

世界の民俗衣服

世界の民俗衣服

 山脇敏子については以前書いているので、そちらを参照のこと。

http://akikoyamasaki.hatenablog.com/entry/2013/03/22/104849

 

長くなりそうなので、残りの男性たちについてはまた改めて・・・。(いろいろ書いてみたいことがあるので・笑)