糸・布・針を読む

自分は縫わないけど、縫ったり織ったりすることを考える・・・読書や調査の記録(基本は自分の勉強メモ)

「宮脇綾子 アプリケにつづる愛」

愛知県一宮市三岸節子記念美術館で開催中の「宮脇綾子 アプリケにつづる愛」展。

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まだ拝見していないのですが、図録の論文を書かせていただいていて、会期中に呼んでいただけることになっています。まだ準備中なのですが・・・。

私は宮脇綾子という女性はとても面白い存在だと思っていて、彼女の近代的な規範と現代的な自由さを併せ持つ点を、とても好ましく感じます。近代と現代・・・、文化はそれほど単純明快に分けられていないのですが、宮脇綾子という人は、1945年の敗戦を自分の人生の大きな区切りとして位置づけながら、創造の世界に参入していきました。

その生き様がとても素敵なのです。

 

展覧会タイトルは「アプリケにつづる愛」になっていて、これだけを見るとなんだか「アップリケ(手芸)」=「愛」みたいな典型的な図式に見えてしまい、それは一般的に言うところの家族への「愛」とか子供への「愛」とかに感じられて、いささか不満が残るわけです。

ただ、図録を読んでいただいて、展覧会もご覧いただけるとわかっていただけそうですが、宮脇綾子という女性は、手芸を時代が必要とする創造活動として、また自己実現の一つとして行っていたと私は考えています。それは「愛」がなかったことを意味するわけではなく、全ての女性たちは「愛」だけで手仕事をしているわけでないというのと同じです。

 

どこかの誰かがそれを「愛」に回収している・・・、女性が創造すること、表現することは、誰かにとってきっと驚異なのでしょう。

というわけで、ご興味のある方は、ぜひ足をお運びください。

http://s-migishi.com/tenran/main_2.html